火曜日、足利市美術館で開催中の「THE LIBRARY」を観るために足利市へ。平日の午前中は人影もまばらで、ゆっくりと作品と向かいあうことができたので平日でよかったと思いました。作品を手に取って観ることが出来るので混み合っていたら遠慮してしまい、あっという間に出て来てしまったかもしれないから。
さて展示はどれも面白かった中でも印象的だったのは、高石麻代の mi libro ―箱庭のようにオブジェを動かして遊ぶことができる― 、黒須信雄の生滅記―真っ黒の本に浮かぶ文様は秘密を覗き見ているような気になる―、本原玲子の bits & pieces ―言葉がプリントされた果実の形を立体は部屋に置いて、雨の日に手に取って気の向いた所を読んでみたい—、ミツイタカシの Inner Space Books ―虫食いのような穴が空いた本で、これは触れなかったのだがパラパラめくりたい衝動に駆られました—などです。
そして松永亨子の External reading #1 斜陽。ぴったりとした箱に収められた32個の立方体に断片的に透けて見えるテキストと何かの風景を、ひとつひとつ眺めて、箱に入れてまた出して見て、向きを変えて収めてみる。じつは松永さんの作品は会場ですぐに目に入ったけれど最後の楽しみにとっておいたのです。そうして多くの作品の後で観ても彼女の手仕事の確かさは迫力があり、独自の視点と思考がくっきりとあるのが一層際立って見えてすごいなあと感動しました。今日まで(レポート遅くてすみません)京田辺で個展をされていたそうですが、その個展のレポートを読んでいると一層興味が湧いて来ました。松永ワールドはこれからも要チェックです!
『この作品は、外部記憶が入り交じる現代の読書体験そのものを、かたちとして表したものだといえる。』展覧会パンフレットより
同時開催の「カイガのカイキ」もとてもよかった。内海聖史の天井まで届く巨大な画面は圧倒的で、小さくなって下から眺めていると色の中に潜り込んだような感覚。・・ヘッドフォンをつけてヴォリュームをうんと大きくして音楽を聴いているときの感覚(もしくはライブハウス)と似ているなあと思ったのだけど、ぐわぁぁあんとしていい気持ち。岡田真宏の色鉛筆の線でできた大画面にも目を奪われた。静的な画面なのにざわざわとうごめいて、沢山の色がきらきらと反射しているように見えるのが面白く、画面から音が聴こえてくるような気がしていた。平原辰夫のマチエールを追求した絵は、もし買うのだったらどれがいいかな(あくまでもしもですが)と考えながら行きつ戻りつしていたけれど、こういう場で観るとひとつひとつの絵は呼応しあって場の空気を作っているからまるで決められなかった! ですが2010年制作のものが好きでした。
それにしても両展示ともパネルの説明がとても良く、いいキュレーターがいるのだなあと思いました。地方の美術館にはなかなか行くことがないのですがたまには来てみるものですね。
足利みやげ(自分の)
み
ありがとうございました!
返信削除あれだけずらりと並ぶと「本」でこんなに遊べるのかーと思います。
カイガのカイキも凄く見応えのある良い企画ですよね。
あえて今「絵画」で、しかもうっかり「カイカイキキ」と見間違えそうな
タイトルをつけてしまうという…どこまでが確信犯でしょう。。。
どの「本」も違っていたことにも感心しました。アプローチはたくさんあるんですね。
返信削除ふふ、どこまで確信犯なんだろう? ちょっと訊いてみたいねー。